長距離夜行バスのおかげで、家族関係を改善しました

30代後半の兼業主婦、バスが大好きです。最近は仕事と家事・子育てに追われてばかりで、ひとりでゆっくりバスの旅…などというのは夢のまた夢なのですが、若い時分には長距離夜行バスにずいぶんと助けられていたものでした。

私は大学以降を遠方の町で過ごし、実家に帰省するには結構な交通費がかかっていました。新幹線のルートに入っているので、半日あれば帰ることはできるのですが、そのチケット代の高さには溜息をつくことがとても多かったのです。アルバイトの一日分、2日分が飛んでいくような値段なので、どうしても帰省から足が遠のきました。

また、帰るとするならもちろん各駅停車こだま新幹線で、グレードの低い自由席に乗るのが当たり前でした。ところが私の両親はなぜかこのことにいつも腹を立てていたのです。「その気になれば、急行ののぞみを使って2時間ちょっとで帰れるものを、どうしてそんなまどろっこしいことをするんだ!」と。

かかるお金がずいぶん違うので、多少時間のロスはあってもこの方がいい、そして道中の景色を楽しむことだってできるのだし、といくら説明しても、両親は聞く耳を持ちません。選択肢の中から、一番良いものを選ばないと気が済まないという性格なのです。

こんな両親との舌戦(?)に疲れ、私はますます実家から足が遠のきました。そんな折に、「長距離の夜行バスっていう手があるなあ…」と気づいたのです。私が当時住んでいた都市から、真夜中近くに出るバスが、実家のある県庁所在地に早朝到着する…という便がありました。

ものは試し、と気軽に試してみたところ、中はビジネスマンでいっぱいでした。出張帰りの人、単身赴任から家族の元に帰る人、そういった背景が簡単に読み取れましたが、誰もが疲れてリラックスした表情でした。そんな大人社会の夜行バスは沈黙と暗闇の中を突き進み、私は備え付けの毛布にくるまって、うとうととしつつも眠れないまま、時間が過ぎて行きました。

バスに揺られる間隔というのは、どうしてあんなに気持ちが良いのでしょう。私は寝台特急に乗ったことはないのですが、恐らく乗り心地は全く違うと思います。時々カーテンのすき間から入って来る高速道路の照明以外は、何もかもが静かなまま、私は優しく揺られ続けました。

そうして、目的地で下ろされた時には早朝だというのにすっかり頭が冴え渡り、実家のある街へ向かう在来線の始発電車を待つ間にも、不思議と力がみなぎっていました。バスの使用を伝えていなかったので両親は驚き、「ええっ早いのね」と戸惑った様子でした。

この後、例の不思議な揺られる感覚が病みつきになり、私は何度も夜行バスでの帰省を繰り返しました。とにかく費用が節約できるので、浮いた分を帰途の新幹線代に投入しても余裕があるほどでした。

こうして頻繁に帰って来る私を見て、両親は安心したのだと思います、よく考えれば、例の帰省方法についての干渉も、遠方にいる娘に対する心配から来ていたのでしょう。往路にバスを利用していることは言いませんでしたが、そのおかげで親子間の関係がかなり改善されて今に至っています。

最近はバス旅行もしていませんが、設備などは飛躍的に改善されているのでしょうか。ぜひ体験してみたい所です。”

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